■1■宮地真緒■■

　

　◆宮地真緒

五人の女優が織り成す味わい深い人間劇場

一軒の古い茅葺きの家に、引き寄せられるように集まった五人の女性たち。

世代も境遇も異なるが、その家に少なからぬ因縁と思い出を抱えた人々だった。

彼女たちの交流と反目、そして語らいのなかで、それぞれの人生が浮き彫りになっていく。

映画『赤い鯨と白い蛇』がロードショー公開される。

映画に登場するのは、主に五人の女優のみ。

しかし、そのストイックな演出によって、それぞれの演技が引き立ち、

味わい深い人生劇場が堪能できる作品になっている。

出演は香川京子さん、樹木希林さん、

浅田美代子さんといった日本映画界を代表する大女優たち。

そのなかで新鮮な息吹を感じさせるのが、

幼い娘役の坂野真理さんといまどきの若者を演じる宮地真緒さんだ。

さらなる活躍が期待される女優、宮地さんに話を聞いた。

「今回の映画は、尊敬する先輩方に囲まれての撮影でしたので、

プレッシャーはありました。

監督の演出も厳しかったですね」監督はせんぽんよしこさん。

テレビ草創期から数々の名作ドラマを生み出してきた演出家で、

"脚本の向田邦子、演出のせんぽんよしこ〃と評された才人。

喜寿を前に、今回が映画初監督となった。

「監督はあまり具体的なアドバイスをおっしゃらないんです。

泣くシーンでも、『どうして泣くの?』と尋ねるだけ。

それで、自分なりに考えて泣くんですが、監督のイメージとは違うらしくて、

『じやあ、子どものように泣くとしたら?』ってアドバイスをくださる。いい勉強になりました」

映画『赤い鯨と白い蛇』は、千葉の館山が舞台。

「戦時中に疎開していた家にもう一度寄ってみたい」という老女が、孫娘とともに古い民家を訪れる。

そこで出会ったのが、その家の現在の女主人とその娘だった。

さらには、かつてその家に住んでいたという詐欺まがいのセールスレディが加わり、

"五世代五人の女性たち"が一軒の家で過ごすこととなる。

☆つづく

(第三文明１２月号より)

 

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