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◆配偶者の死 男にはつらいよ

マサヨさん(仮名)は81歳。

リウマチでヘルパーと保健師の訪問を受けながら自宅で生活している。

私は年に一度くらい呼ばれて、自立した生活ができるよう、

ベッドの高さを調整したり、介助用具を提案したりしてきた。

今日の訪問はマサヨさんを元気づけるためだ。

というのも、頼りにしていた夫の与一さん(仮名)が2週間前に急に亡くなったのだ。

大正生まれにしては珍しい「友達夫婦」だったから、落ち込んでいるだろう。

ところがマサヨさんは元気で、しかもきれいになっている。

「リウマチの調子も良くて」と、不自由な両手でお茶を出してくれるのだ。

私は考えこんでしまった。

逆の場合を何回も経験してきたからだ。

妻に先立たれた男性の場合、2週間後に訪問すると、「遅すぎた」と思うことが多いのだ。

家の中は掃除もしていないのでゴミだらけ。

本人は無精ヒゲで目に精気がなくなっていたりする。

男性にとっては、配偶者の死は大変なストレスだ。

だが、女性にとっては、配偶者が生きていることがストレスになる場合だってあるのだ。

「友達夫婦」のように仲の良かったマサヨさんと与一さんの場合でもこうなのだ。

世の男性諸氏よ。

配偶者を失って、あっという間に生活破たんしないために、

また、自分が亡くなったあと、妻に「やれやれ」と言われないために、

夫婦のあり方を見直しておこうよ。

なにしろ介護の世界では、夫が妻をケアするのは「罪滅ぼし介護」、

逆に妻が夫をケアするのは「仕返し介護」と呼ばれているのだから。

「生活とリハビリ研究所」代表 三好春樹

(読売新聞より) 

 

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